2017年3月1日

太陽光投資と不動産投資、今から始めるなら、どっちが魅力的か?

太陽光と若葉

2つの投資が比較されるのは、長期に安定的な収入が見込めることにあります。

平均寿命が伸びる一方で、将来年金は支給されるのか?という問題は不透明。老後を考えて、長期安定的な収入が見込める投資先に人気が集まるのは自然な流れです。

両者の具体的な比較をみていく前に、マーケット状況を確認していきます。

短期的に見れば、不動産投資が注目を集めている

相続税対策で注目されている

現在、不動産投資は人気です。その一番の要因は、相続税対策。税制改正により2015年1月1日から相続税の税率が上がったため、アパートやマンションを建てることで財産価値を下げ、節税する人が増えているのです。

2016年は新築住宅着工が増え、その中でも貸家の割合が4割。40万戸を突破したそうです(リーマンショック後は30万戸)。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックも、キーワードに

選手村や競技場などの建設で注目を集めている湾岸エリアは、不動産価格が上昇しています。他のエリアでも都内の不動産価格が上がっているのは事実でしょう。

五輪開催のためにさらに店舗や施設、インフラなどの整備が進むため、開催後も継続的な価格上昇を謳う不動産業者は少なくありません。過去の東京五輪の実例をもとに説明されることも多いようです。

太陽光投資はFIT制度による固定買取価格が下落

2012年にFIT制度がスタートし、太陽光ビジネスは当初国が想定していた以上に急進。ちょうど今は、各方面で微調整を行いながら次なる成長に向けて準備を整えているイメージです。

現在の低圧(50kW未満)太陽光発電システムの固定買取価格は、24円+税。2017年度からは21円+税になる見込みです。制度開始時は、40円+税でしたから、投資家心理としては「今からの参加は遅い?」という状態になるかもしれません。

しかし、制度開始の5年とはシステム費用が大幅に下落していることは、以前のコラム「2017(平成29)年度 産業用太陽光の売電価格は21円に!」でも書きました。これからの太陽光投資は、利回り重視の時代です。

不動産投資の芝生が、相対的に青く見えている

短期的な視点では、相対的に不動産投資が人気を集めているイメージです。
特に五輪開催は、目の前にぶら下がっている人参。心理的には逃したく無いと思ってしまいますし、営業トークもすごい勢いでしょう。

ただ以前の東京五輪は高度経済成長期。今の日本の状況とはまったく違います。「五輪開催=不動産価値上昇」の構図を強く印象付けたい気持ちは分かりますが、では「長野五輪の後はどうだったの?」と、少しツッコミを入れたくもなります。

目先の3年に投資するわけではないと分かっていても、最近ではタレントを起用してTVCMなどの広告も多い。今大人気の不動産投資!と、盛アピールをされれば追い風を感じてしまうことは事実でしょう。

次は、その追い風が過ぎたらどうなるのか?を見ていきます。

長期的に見れば、太陽光投資が優勢

ビジネスの世界では、鳥の目でマーケット全体を俯瞰して見ることが大事と言われます。冷静に、不動産投資マーケットを俯瞰して見てみましょう。

不動産投資マーケットは、衰退期へ

不動産投資マーケットは衰退期へ

先ほど貸家着工数が増加していると書きましたが、空室率も確実に上がっていることを認識しておかなければなりません。

神奈川県や千葉県では空室率35%を超えているとのニュースも記憶に新しい。東京都内でも、人気があるのは駅チカ・新築物件。中古物件の多くは不良債権化していると言います。

冷静に考えてみると、人口減少や空き家問題が全国各地で叫ばれている中で、今の日本に、もっと住まいが必要でしょうか? 今あなたが住んでいる街の人口は増えていますか? 近所のアパートやマンションは満室ですか?

少し駅を離れれば、入居者募集の広告が目につくのではないでしょうか。日本の不動産投資マーケットは、成熟期を過ぎて衰退期に入っているように見えます。

太陽光投資マーケットは、成長期へ

一方で、太陽光投資マーケットはこれから。黎明期から成長期の間くらいでしょう。

エネルギーを海外の化石燃料に頼りきってきた日本は今、太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの普及・拡大を目指しています。

パリ協定にもあるように、化石燃料を使い過ぎた人類にとって、再生可能エネルギーへのシフトは、もはや地球規模で解決を必要とする命題とも言えます。

実際、2017年のうちにGoogleは世界で利用する電力を全て再生可能エネルギーにすると発表しています。Appleも、Amazonも同様の方向性です。日本でも住宅業界だけでなく、トヨタやホンダなどの自動車業界、セブン-イレブンやローソンなどのコンビニ業界、あらゆる産業が再生可能エネルギーにシフト・投資しています。

太陽光パネルやパワコン、架台、蓄電池など、新技術を搭載した製品が次々と世界中で発表されており、まだまだ伸びしろが大きいマーケットなのです。

太陽光投資は成長期へ

どっちの未来を応援したいか?

そもそも投資とは、自分が応援したい未来(ビジネス)を選択すること。

これからの日本において、太陽光投資と不動産投資、どっちが必要でしょうか?

今、私たちはエネルギーの転換期にいます。あなたの孫に、「昔は地球を掘って石油をエネルギーにしてたんでしょ?」と、言われる時代がくるかもしれません。

太陽光投資と不動産投資の比較

前提条件として、投資資金は2200万円ほど。過積載・低圧(50kW未満)太陽光発電投資できるくらいの資金で比較しています。投資資金が数億円などの場合には比較結果が異なる場合もあります。

(1)安定した収益

太陽光投資 不動産投資

この2つの投資を検討する人の最大の関心事は、安定した収益性だと思いますが、これは圧倒的に太陽光投資の勝利でしょう。

太陽光投資の収入源は、電力会社から支払われる売電収入。国が保証しているFIT制度の中で、20年もの間、確実にお金が振り込まれます。不動産で言うなら、国が連帯保証人みたいなものですから、これ以上の安心・安全はないでしょう。

一方、不動産投資の収入源は、家賃収入。入居者が毎月しっかりと支払ってくれれば、安定的な収益がありますが、あくまでも借り手を維持し続けるという条件付き。新築時には大きな問題ではないかもしれませんが、中古物件になった時には空室リスクは否めません。空室であれば、当然収益はゼロです。

将来的には家賃下落のリスクもありますし、さらに家賃滞納という事態に巻き込まれると、別次元の厄介事を抱え込むことになるでしょう。

(2)優良物件と出会える確率

太陽光投資 不動産投資

不動産投資を始めようと思った時、最初は誰しも空室リスクの少ない新築物件を思い浮かべるでしょう。しかしインターネットで調べると、東京都内で2200万円クラスの投資用新築マンション・アパートはとても少ないのが分かります。

新築物件の発見は困難ですし、選べる余地はないと言っても過言ではありません。築20年程度の中古物件が中心になります。東京都内であれば、優良な中古物件を上手に運用する必要がありますし、都内を離れれば人口減少リスクと向き合う必要があります。物件選びだけでも、至難の技だと分かります。

太陽光の分譲物件は、全国各地にあります。ある程度の敷地と太陽があればどこでも可能ですし、地域によって発電量(売電収入)に大きな差はありません。少なくとも、田舎と都会の家賃ほどの差はないと言えます。

将来的には中古マーケットも誕生すると予想されていますが、今現在の物件は新築が大前提と考えて良いはずです。機械ですから初期不良があるかもしれませんが、それはメーカー保証を利用しましょう。

しかし、太陽光の投資物件選びでは注意が必要なことも事実。それは、業者選びです。以前、ソーラー税理士の鵜之沢さんも注意喚起されていましたが、未だに悪質な業者が多いのが実情です。

お金を振り込んだのに施工が進まない・・・、連系してもらえない・・・、何度も連絡しているのに電話に出ない・・・などなど。FIT制度開始から5年、だいぶ業者も精査されてきたと言われていますが、まだ注意は必要。物件の良し悪しも大切ですが、業者選びはもっと重要視するべきだと思います。

(3)ランニングコスト

太陽光投資 不動産投資

太陽光投資のランニングコストは、月々のメンテナンス費用と保険くらい。お金も手間も大きくはかかりません。あえて可能性としてあげるとしたら、20年間のうちに一回、パワコンの取り替えが発生するかどうかでしょうし、今後メーカーの技術革新により製品寿命が伸びていくことが期待されています。

一方で、不動産投資は手間が多いのが事実。不動産投資の指南書を開いてもらえれば書いてあると思いますが、投資というよりも事業として向き合う姿勢が重要と言われています。

まず大変なのが、業務を委託する不動産仲介業者の選定。高いコストパフォーマンスで借り手の募集と管理をしてくれる業者を見つける必要があります。

入居者の退居後は、部屋のクリーニングや修繕費用が必要。維持管理を怠れば、家賃下落や空室リスクが高まります。また、10年毎には外壁塗装や防水工事などの大規模修繕工事も覚悟しなければなりません。

(4)資金調達

太陽光投資 不動産投資

これは不動産投資の方が有利でしょう。
残念ですが、多くの金融機関で、まだ太陽光は担保価値を認められていません。時間の経過とともに状況は少しずつ改善していくと予想されていますが、現時点で不動産投資と同レベルの融資を受けることは困難です。

(5)投資利回り

太陽光投資 不動産投資

利回りは業者によって変化しますので難しいところもありますが、土地付き低圧(50kW未満)過積載の太陽光発電システムを購入できる2200万円レベルでの投資を想定した場合であれば、手堅い利回りをあげるポテンシャルは太陽光投資の方が持っているだろうと思います。

(6)出口戦略

太陽光投資 不動産投資

太陽光投資は、FIT終了後の20年後はどうなるの?と思われるかもしれませんが、おそらく20年後も売電収入は見込めると推測しています。買取価格が今と同じとは言えませんが、運用中に取り替えるパネルやパワコンは、システム建設当初よりも効率や耐久性が高いものを安価に仕入れられるでしょう。

また、蓄電池や送電網の進歩によって、半分だけ売電して、残りの半分を自分で使用したり、子供たちに分けてあげたり、といった売電だけでなく、自家消費という選択もできるようになっているかもしれません。

中古市場が誕生・活性化して、システム全体をそのまま売却できる可能性も大いにあるでしょう。

不動産投資の20年後は、厳しいと推測します。新築で購入すること自体が困難だと思いますし、もし築20年の建物を購入していたら、築40年です。住まいに求められる、安心・安全を維持するのは難しいでしょう。中古市場にまわって、物件売却できるかどうかも怪しい。

不動産が新築であれば、40年間は持つことがメリットという考え方もありますが、それは膨大なランニングコストをかけて維持管理をしているからです。

ただ、不動産投資には土地の価値が残ります。これは強みです。

まとめ

個々人の置かれた状況によって多少の変化はあるでしょうが、太陽光投資の優位性が目立つという結論。これから投資を始めるなら、太陽光投資をオススメします。

心理的ハードルを越えて、太陽光投資を始めよう!

不動産投資と比べて、あえてマイナス要素をあげるとしたら、投資参加者が少ないことでしょう。FIT制度が開始からまだ5年。一般的な投資商品として太陽光投資はまだメジャーではありません。

背景には、「みんなが投資していないから、すぐには手が出せないな…。ちょっと様子を見よう」という、日本人特有の心理的なハードルがあります。

では今、太陽光投資をしている人は誰か?

投資感度の高い人達です。実際、証券会社などの金融機関に勤めているサラリーマンや事業経営者が多いと言われています。

「噂で買って事実で売る」という投資の名言があるように、勝つ人はいつも一歩先を行っています。今、目の前にある心理的ハードルを飛び越えた先にブルーオーシャンがあるのです。太陽光投資を始めた人は、その旨味にリピーターになる人も多い。それがFIT制度下の太陽光投資です。

運営会社 : 株式会社 イデアスタイル